■ギリシャ・ピレウスに入港【第6日目】・(平成22年)2010.2月25日
【アテネ・アクロポリスを訪ねる】
am4:30に起床し、16デッキに出てみる。数名のクルーが、夜中に濡れたデッキを拭いている。「グッドモーニング ! 」と声をかける。すると、元気な気持ちの良い返事と笑顔が返ってきた。 誰も知らない、独り占めの幸せな朝の瞬間である。 プールサイドのカウンターのとまり木に座り、パソコンを開いて日誌をつけた。
今日は、待望の「アクロポリス神殿」の観光が予定されている。 am7:30ピレウスに入港する予定….ギリシャの中でも重要な港で、首都アテネに近いこともあって、世界でも船舶の乗り入れの多い港だそうだ。 港の内部が広く、入口が狭い…天然の良好な地形を生かして築かれている港 … また、造船所や穀物倉庫などが計画的に配置されているとても立派な港だと聞いた。
クルーズの楽しみは、船内だけではない。その一つは、寄港地で過ごす時間にある。
船を降りるたびに、新しい街の風景や人との出会いが待っている。さらに、何より魅力的なのは「観光目的地のほうが、寝ている間に近づいてくる感覚」を味わえることである。
クルーズは、生活空間がそのまま移動する旅行なのである。夜のうちに移動して、目が覚めたら違う街にいて…そんな非日常的な世界に身を置けば、素晴らしい心のリフレッシュになる。
この船のデッキは、16階建てである。 船から寄港地の街を眺めるという楽しみ方もある。この高い甲板に上がると、港から遠くの山肌まで、家が密集している様子などを観ることができる。空飛ぶ鳥たちが観ているような鳥瞰的な景色が目の前に広がっている。
ピレウスに入港するam7:30頃、デッキに出て観た。眩しい朝陽がキラキラと輝く中、船はゆっくりと接岸してゆく。岸壁には既に、今日の観光のためのバスが40〜50台並んで待っている。
私たちは下船して、写真のように、幅がでっかいシャトルバスに乗り込む。 このバスで港の外に出て、そこで市内観光用のバスに乗り換えての出発となった。
このピレウス港からアテネ市街地へとバス移動するが、道路は大渋滞が起こっていて、随分と時間がかかった。
アテネの名の由来は、知恵と戦争の神「アテナ」をこの土地の守り神としたことに始まるそうだ。 そのアテナを祀ったこの街のシンボル「パルテノン神殿」を見学することになっている。
まず案内されたのは「国立考古学博物館」…ここには沢山のギリシャ彫刻を見ることが出来る。 ギリシャ彫刻は、ルネッサンスのモデルとなったそうで、今でも「ミロのビーナス」や「サモトラケのニケ」は、世界最高峰の芸術とされているのである。 この博物館のコレクションのほとんどが、紀元前に作られたものと言う点において、世界でも最も貴重な遺産となっている。
クレタ島を除く、ギリシャ各地にある遺跡からの出土品のほとんどが、ここ国立考古学博物館に収められているそうで、世界でも、これほど充実した博物館は数少ないと聞いた。
博物館というより、美術館と言うような華やかな雰囲気が漂っていた。
博物館の見学を終えて、アクロポリスの観光へと移った。「アクロポリス」とは、「小高い丘の上の都市」のことを指している。
そこを防壁で固め、自然の丘に神殿や砦が築かれたのである。 現在この丘には、古代ギリシャ美術を代表する傑作と言われている「パルテノン神殿」「プロピュライア・エレクティオン」「アテナ・ニケ神殿」がある。2,500以上の歴史を刻んだパルテノン神殿は、白色とも桃色ともつかない、光の加減で変化する大理石の柱46本が、青空を背景に荘厳な雰囲気を漂わせているのは圧巻である。
ギリシャを代表する古代遺跡で、世界遺産にも登録。
アクロポリスの入口には、ブーレの門、その上に勝利の女神ニケを祀ったアテナ・ニケ神殿がある。
プロビレア(前門)を進むと、紀元前5世紀に完成したパルテノン神殿が現れる。北側には、エレクティオン神殿、丘の下の方にはヘロデスアティコス音楽堂、ディオニソス劇場と見どころが多い。
パルテノン神殿は、 ペルシア戦争勝利を感謝して、アテネの守護神アテナに捧げられた神殿である。 基壇は幅約31m、長さ約70m、高さは約10.5m。正面と後ろは8本づつ、両横から見ると17本づつ、計46本のドーリア式の柱が取り巻いており、正面と後ろにはさらに内側に6本づつ柱が立っている。
内陣は壁で囲まれており、中には東から前房、内室、乙女の間、後房の4部屋があったそうだ。 現在は眩しい白亜の神殿ですが、かつては外も内も彫刻も色鮮やかに塗られていたそうだ。 パルテノン神殿は目の錯覚による効果を上手く取り入れていて、例えば建物の安定感を出すために柱は全て内側に傾斜、床も真ん中を少し高くする感じで弧を描き、四角の柱は光の加減で細く見えるのを防ぐため他の柱より少し太めに作られているそうだ。 また1本の柱はそれぞれ10~11個の円筒を達磨落としのように積み重ねられているというが、継ぎ目が分からないほどぴったり合わされており、柱がやせ細って見えないよう真ん中にふくらみ(エンタシス)をもたせてある。 このエンタシスはシルクロード伝いに東へと伝わり、法隆寺など飛鳥・奈良時代の寺院の柱にも使われているらしい。
アクロポリスの丘の北側ぎりぎりに建つ神殿「エレクティオン」で一番目を引くのは、柱として屋根を支える6体のコレー(乙女)像カリアティディスと呼ばれ、高さは2.3㍍。ここは、数神を祀った複合神殿だそうだ。
アクロポリスの観光を終えて、次は「アテネ競技場」へと向かう。近代オリンピックの記念すべき第1回が、ここアテネ競技場で開催されたそうだ。 今日の大きなスタジアムなどに比べれば、とてもこじんまりした小さな競技場である。しかし、観客席は全て大理石で作られているそうだ。今風の巨大なスタジアムにはない、豪華さと威厳をそなえているような気がした。
このあと、土産品店に案内された。精巧なレプリカが沢山並んでいて、つい欲しくなるが何せ重い・壊れやすいで手が伸びない。
今日の寄港地観光はこれで終わり、ピレウス港までバス移動をして船に戻った。
乗船してpm2:00過ぎ、レストランで軽い昼食をとる。 昼食後、デッキでくつろいでいると、通りかかった外国のご夫婦が、私たちの写真を撮ってくれた。 なんとも自然に・気軽に・そして笑顔で、そうした親切をしてくれる。そんな外国の方々の….ちょっとした思いやりに、いろんなことを教えられる。
pm6:00からディナーが始まった。 食事のテーブルに、ご一緒したあるご夫婦が、エジプト・ギザのピラミッド観光に行くとおっしゃる。 思案していた私たちの背中をポンと押された感じだった。 その観光は明後日だ…今からでも申し込みは間に合うのか?…すぐに添乗員に手続きを頼む。するとOKが帰って来た。 ただし、このツアーは、英語によるガイドとなる。 行くと言ったものの、少しドキドキしたのを覚えている。 食事が終わってから、ツアーデスクに行き、正式な申し込みを済ませた。 ホットしたところで、ワインバーに行き暫く楽しんだ。 何と言う名前なのかは覚えていないが…出されたワインは濃い琥珀色していて、とても甘く美味しいものだった。そうした夜を楽しんだあと、船内の専門店を少しショッピングをしてキャビンに戻った。
今日もよく歩いて快い疲れが襲う。今晩もぐっすり休めそうだ。
地中海・エーゲ海クルーズ17・2010(5) への8件のフィードバック