第2話 …「 アンコールトムの観光」
いよいよ、アンコール遺跡群の観光が始まる今朝は、ホテルのロビーで am 8:00 に待つようにと、現地ガイドから指示を受けている。 今回、初めて訪れた、シェムリアップの遺跡群の観光は、まず「 アンコールトム」から始まると聞いている。
予定の時刻に、優しい笑顔の現地ガイド「アンさん」が迎えに来た。 その車に乗り込むと、私たち夫婦の他に、日本人の3ペアがご一緒となって、ちょうどいい人数のツアーとなった。
車窓から、アンコールワットを横に観ながら通り過ぎて行く。そしてさらに暫く走ると、目の前に、入り口の幅の狭い門が現れた… 「アンコールワット」から「アンコールトム」へと続く道路上に、王さまと神々の都市「アンコールトム」の入口の一つ「南大門」である。
この門の四面には、顔の長さだけでも 3㍍ を越えると言われている観世音菩薩の四面仏が彫刻されている。 そして、この「南大門」の前の道の両側には、神々と阿修羅が「ナーガ」という蛇神の胴体を引き合う大きな像が列んでいる。 これから観光をする遺跡群には、数々の架空の動物が登場するそうだが、アンコール遺跡群の観光に際して、ちょっと知っておきたいことがある。 その一つが、この「ナーガ」である。 ナーガとは、インド神話に起源を持つ「蛇の精霊あるいは蛇神」のことである。
ナーガは、人間の世界と天上界をつなぐ「虹のかけ橋」とも考えられている。 ここ「アンコール・トム」の「南大門」の前にある環濠(おほり)に架かる橋の欄干には、この「ナーガ」が摸してある。これこそがまさに「虹のかけ橋」となっているのである。 この「ナーガ」を引っ張る阿修羅と神々の像の列が「虹のかけ橋」の欄干を形作っているのは、「乳海攪拌」という「天地創造の神話」に基づいて造られています。(この神話は、また別の機会に書くことにします)
この「南大門」をくぐり入る「アンコール・トム」とは、「大きな町」という意味だそうです。 この町は、一辺が 3km の堀と、ラテライトと呼ばれる「熱帯特有の赤茶色をした酸化物に富んだ石材」で作られた 8m の高さの城壁で囲まれています。
周囲約 12 ㎞ の城壁内には、十字に主要道路が配置され、その中央に「バイヨン寺院」があります。 南大門を潜って車で少し走ると、アンコールトムの中心・バイヨン寺院が見えてくる。
ここ「アンコールトム」と「アンコールワット」は、アンコールの二大遺跡とも言われています。 これから見学に足を踏み入れる バイヨン寺院の構造は、三層にわかれていて、高さ43mにも及ぶ中央祠堂を中心に 二重の回廊が配置されている。 なかでも圧巻は、数え切れないほどの人面像と、 先ほど観てきた南大門の前の、お堀に架かる橋の両側に並んでいる「神々と阿修羅がナーガの胴体を引き合う54体の像」は、観る人たちを圧倒する迫力があります。
クメール語の発音では バヨン の方が近いそうで、バは「美しい」という意味だそうで、ヨンは「塔」の意味を持つそうです。
第一回廊にはレリーフも残り、水上戦などが描かれ、 水中に落ちた兵士がワニに食べられるシーンなどリアルな壁画が描かれています。
また、ハスの葉の上で踊るユーモラスなアプサラなども描かれていて、ほのぼのとした 雰囲気も垣間見えます。
アンコールワットのレリーフは、戦争の様子を描いたものがほとんどだそうだが、こちらのレリーフには、日常生活を彫ったものが多いと聞いている。
これらの壁面には、12世紀の人々の生活模様が多数描かれている。漁・狩り・炊事など … 人物や動物の表情は生きいきと輝き、石の表面からは、体温や匂いまでもが伝わってくるようです。
こうした第一回廊のレリーフを見てから、バイヨン寺院 の内部の塔へと登って行く。 第二回廊は、約160メートル × 120メートルだそうだ。 正面は、東側を向いている。
現在残るレリーフは、他のアンコール遺跡とは大きく異なった特徴を持っていると言われていて、第二回廊には戦争の様子や、バイヨン建設当時の市場の様子や狩の様子などが、レリーフに彫り込まれており、庶民の暮らしをうかがい知ることのできる貴重な資料ともなっているそうです。
第二層には16の塔があり、どの塔にも前述の観音菩薩と思われる四面像が彫られている。第二層の回廊にはヒンドゥー教色の強いレリーフがデザインされていた。
第三層はテラスとなっており、やはりどの塔にも観音菩薩とおぼしき四面像が彫られている。 第三層の中央には、仏教の像が置かれていました。
バイヨン寺院でもっとも有名なのが、「クメールの微笑みとも呼ばれている」 中央祠堂を始めとする、塔の4面に彫られている人面像である。 見る人によってその表情はいろいろだが、一般に言われているのが、菩薩像を模している といわれる。
それぞれの顔が微妙に違っていて、何時まで見ていても飽きないものでしたよ。 バイヨンの回廊を降りて、次に「パブーオン」に向かった。
アンコール・トムの中心にあるバイヨン寺院の、少し北西にパプーオン寺院がある。「隠し子」という伝説を持つこの パプーオン寺院 は、3層からなるピラミッド型寺院で、今は中央部が崩れているが、かつては約50メートルの高さで、バイヨン寺院より高かったといわれている。 当時のカンボジアの王が、自分の息子を殺されないようにと、この寺院に隠したことから「隠し子」と呼ばれるようになったそうだ。 東塔門を入ると、円柱で支えられた長さ200mにも及ぶ、まっすぐに伸びた「空中参道」が続いていた。 この参道もまた、地上と天上とをつなぐ「虹の架け橋」なのである。
この後、王宮の中に創建された「ピミアナカス寺院」を眺める。 王宮の中心部にあり、赤く輝くように、小さなピラミッド型の建物が見えている。
このピミアナカス寺院は、ラテライトで 3 層に積み上げられていて、その上に中央祠堂が載せられているというものである。
このピミアナカスには、伝説が残されているので記しておこう。
この中央塔の中には、ナーギー神という蛇の精が宿っていて、蛇は毎晩、美しい女性に姿を変えて王の前に現れ、王は妻と寝る前に、まずこの蛇の化身と交わらねばならなかった。 もし、一夜でも、この行為を怠ったら、王は早死にすると信じられていた。なので、王様のみが、夜な夜な通う場所であったという伝説なのです。
こうした遺跡の観光をして、次に「王のテラス」へと向かった。 王族たちが、閲兵を行った「アンコールトム」の中の王宮前のテラスである。
このテラスの真正面には、勝利の門から続く道がのびている。 王のテラスの北側に、ハスの花の彫刻があるテラスは、見応えがある。これには、3つの頭をもつゾウが、ハスの花をからめ採っている様子が彫刻されている。 テラスの上のライ王像はレプリカで、本物はプノンペンの国立博物館にあるそうだ。 このライ王のテラスの高さは、約 6m もあるそうで、ラテライトと砂岩で造られている。
ここは、現在のテラスが完成する前に、12世紀末以前に、すでにテラスの原型があった。そのもともとの壁面が観られるようにと、壁と壁の間に通路を設けて修復されている。そのもともとの壁面に観られる彫刻には、神々と阿修羅が一緒に描かれている。そして、女神像は、表情もさまざま、また、9つの頭をもつナーガのレリーフが見事に残っている。
これらのテラスの観光を終えて、バスに乗って市内のあるホテルへと向った。
昼食の会場となったのは「リーホテル」のレストランで、クメール料理を戴いた。
料理はさることながら、暑い中での観光が続いた後なので、涼しいレストランで飲んだ地ビールが何ともたまらなく美味しかったです。
昼食後、宿泊しているホテルに帰って、お昼の休憩がおよそ2時間でした。
そして午後からの観光は、あの「アンコールワット」となります。
これまで見て下さって、ありがとうございました !!
続きはまた次回に …
2012 アンコール遺跡群(2) への4件のフィードバック