■イタリア・ナポリ入港【第13日目】・(平成22年)2010.3月4日
【ナポリ港をぶらぶら】
午前6時少し前、船はカプリ島を左舷側に臨み、ナポリ湾へと進んで行く。カプリ島には、湊の灯りと、それから丘の上の街へと続く道筋の街灯が点々と連なって見えている。
今朝はレストラン「ラ・レッジャー」で朝食をとることにした。
am 7:00 にテーブルについた。そこに、二人の日本人のご婦人が加わった。 さらに、フランス人のご婦人ひとりが同席することになる。
そんなことから、何時もの朝食とは少し雰囲気が変わって、食卓に飾られた花のように華やかさと…ちょっと賑やかさと言うか「姦しさ」も加わって、男性は私ひとり….なんだか小さく見えていたようでもある。
同席したフランス人のご婦人のひとりは、終始、自分の国のフランス語だけしか喋らなかった。
フランス人は、自分の国に対して強いプライドを持っていると、以前に聞いたことがあるが、まさに言葉はその通りであった。
もちろん、私たちにフランス語がわかる筈もないのではあるが、あ〜だ ! こ〜だ ! と言い合っている内に、通じ合えることもあるから不思議だ。
今朝も食事は美味しいし、こうした思いがけない嬉しい出会いもある。
こんな風に、見ず知らずの多くの人たちとの交流ができるのも、旅の良いところである。
朝食を終えて deck 15に上がる途中、私たちとは違うグループに参加しておられる日本人のご婦人に呼び止められた。
その方がおっしゃるには女友達の数人と、今回のクルーズに参加されているそうであった。
そして、私たちを見て….「ご夫婦での参加が羨ましい」と言われるのである。 何のことだろうか ? と首をかしげていたら、さらに付け加えてこうおっしゃった。
「一泊か二泊の旅ならいいけど….今回のクルーズのように旅が長くなると、いくら気の合ったお友達同士とはいえ、色々と不都合が生じてくるもの」….と。
そのご婦人は、さらに続けて「主人と一緒に来るべきだった」….と、反省しきりなのである。 それを聞いて私たちも納得した。 この方、そうしたことを私たちに打ち分けることで、少しは気分が晴れたご様子であった。
船は am 8:00 ナポリ港に錨を降ろした。
私たちがこのナポリを訪れるのは 3年振りである。
今日の寄港地観光は、ポンペイの遺跡巡りとなっている。
私たちは、前回訪れた遺跡でもあり、そのツアーには参加しないことにした。
明日3月5日は、下船の日を迎える。 なので今日中に、キャビンの中の荷物を整理してスーツケースに収めなくてはならない。朝食後、そうした準備を少しずつ始めた。
下船準備の作業に目途がついたところで、ナポリの港街に降りてみることにした。
外は雨が降っている。
上の写真の中央には、ルネッサンス建築の華麗な城「ヌオーヴォ城」が建っている。
13世紀のアンジュー家の城が、15世紀になってアラゴン家の手によって再建されたものだという。5つの円筒状の塔を持つ城壁で囲まれている。正面右2つの塔の間は、大理石のレリーフを施した凱旋門で、ルネッサンス様式の傑作のひとつと言われている。
いま内部は、市立博物館となっているそうだ。
船を降りてターミナルを出ると、3年前の記憶に残る景色がそのままに、目に飛び込んできた。
急に風が強まり雨が降り出す。相合い傘で港のカフェまで歩いて、そこでエスプレッソを飲みながらの雨宿り。以前訪れた時、この港からカプリ島行きの船に乗ったことが鮮明に想い出されてきた。 一時、土砂降りになっていた空も次第に明るくなり、雨も止んだ。
新しく生まれ変わったと言われているナポリは、以前、評判に見聞きしたほどには汚くも、治安も悪くはないが、用心のために、アクセサリー類は外し、最低限の物だけを持ち歩くことが良いと聞いている。
イタリア人も舌を巻くほどに調子がよいのがナポリッ子と言われている。 もう一つ驚くのは、地元の人たちが、信号とは関係なく、上手に道路を渡って行くことである。
ここは、ただ待っていても、一生横断できないと言われているナポリなのである。
私たちも勇気を出して、ナポリッ子の真似をしてみたが、ひやひやものであった。
下の写真は、大型客船の専用のターミナルビルである。 上の写真は、そのターミナルビルの表玄関から観た港の風景である。
ここの港の正式な名前は、メルジェッリーナ港と言うらしい。カプリを始めイスキアや
プローチダなどへ水中翼船が出ている。このターミナルビルも正式には「マリッティマ駅」と呼ばれていて、私たちの乗る大型客船や、シチリア・サルデーニャ行きの大型フェリーも就航しているらしい。
午前中に、あれほど崩れたお天気も、午後三時少し前には回復し、青空も覗き始めた。
船は、ジェノバ港に向けて 15:00 丁度に、ここナポリを出港して行く。 今回のクルーズの最後の、約 622 ㎞ の航海が始まった。
港の防波堤の外海は、下の写真のように波が荒れている様子が伺える。
今晩の夕食は、クルーズ最後のディナーとあって、「地中海料理のレストラン」に、 pm 7:00 からの予約を入れている。 それまでには随分時間があるので、夕刻5時頃から、明日の下船のための荷物の纏め作業にかかる。
今回のクルーズでは昨日まで、船の揺れをほとんど意識することのない毎日であったが、今日先ほど出港して間もなく、ピッチングにローリングが重なる揺れが始まっている。そのために家内はベッドに入ったまま動けないでいる。
仕方がない、私ひとりが、せっせと荷物の纏め作業….が、暫くすると私までもが具合がおかしくなってくる。 このままだと私までもがダウンすると感じて、ひとり deck 15 に上がる。暗い雲が垂れ込んでいて、寒々とした風が吹いている。船の後方の水平線を見ると、船がかなり大きくピッチングしていることが分かる。
また、プールの水面を見ていると、不規則に・大きく波打っていることから、ローリングが重なっていることがはっきりと見て取れた。13万トン級もの大きな船が、こんなに揺れるのかと初めて知ったひとときであった。そうした中にも、外の風に吹かれていると、少しは気分が落ち着きを取り戻したようであった。
早く波が治まってほしいものだと思いながら、ミネラルウォーターを求めに、船内を歩くと、行き交う乗客たちも左右に蛇行して歩いている。
写真のように屋内プールでは、船の揺れによるプールの水面の波しぶきを楽しんでいる娘達がいた。 若いッて !! ….素晴らしい !!
キャビンに戻ってみると、家内は依然として横になったまま動かず。
いま pm 6:15 ….夕食をレストラン「ロリーボ」に予約を入れているが、この様子では今すぐに、家内も私も食事をとる食欲はなさそうだ。 なので….レストランでの食事は諦め、船酔いの症状が治まって、自然に食べたくなるのを待つことにした。
夜9時を過ぎて、やっとベッドから起き上がった家内。 そう言えば、船の揺れがかなり治まっている。
少し食欲が出て来たかな ? ….と感じて、deck 14 のビュッフェ・レストランに行く。ピッツァとビールをチョイス。
遅い夕食を楽しんだ。
追伸 : 次の翌朝になって知った情報であるが….
揺れが最も酷かった時の波の高さが….なんと !! 8㍍近くもあったそうだ。 また、私たちのように、乗客の多くが船酔いで、夕食をまともにとれなかったと聞いた。…..でも、酔い止めの薬をしっかりと服用していれば、大丈夫。…..ですから、ど〜かみなさん ご安心を !! 。
地中海・エーゲ海クルーズ17・2010(13) への4件のフィードバック